子どもの矯正
子どもの矯正を始める時期
小児矯正を始める時期には個人差がありますが、6~7歳頃が目安です。上下の前歯の永久歯4本と奥歯2本が生えてきた時期に開始します。ただし、歯並び・噛み合わせの問題によっては治療時期が大きく変動するため、まずはお気軽にご相談ください。
子どもの矯正の目的
- 歯列や顎の幅を広げることで永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保する
- 顎の成長をコントロールして骨格的な出っ歯や受け口などの不正咬合を改善する
子どもの矯正の目的は、骨格的な不正咬合を改善しつつ、将来的に永久歯がきれいに並ぶように誘導することです。永久歯がきれいに並ぶスペースが不足していると、歯列から永久歯がはみ出します。その結果、出っ歯や受け口、叢生などのトラブルにつながります。
子どもの矯正治療が重要な理由
見た目が悪い
歯並び・噛み合わせが悪いと、口元の見た目が悪くなります。また、顔全体にもゆがみが生じ、印象が悪くなる可能性もあります。
清掃性が低下する
歯並び・噛み合わせが悪いと、歯と歯のすき間や歯と歯の重なり部分に汚れが溜まります。これらの汚れを落とすことは難しいため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
顎の成長バランスが崩れる
成長期に上下の奥歯が左右にずれている場合、顔がゆがむ可能性があります。また、受け口を放置すると重症化し、改善に手術が必要になる場合もあるため、子どもの不正咬合は放置しないことが大切です。
歯に悪影響が及ぶ
スペースが不足しているために永久歯が間違った位置に生えると、まれに隣の歯の根を溶かしてしまう場合があります。
食べ物を噛むことが難しい
歯並び・噛み合わせが悪いと、食べ物をうまく噛めずに顎関節や胃腸に負担がかかります。また、特定の歯に大きな負担がかかり、すり減りや欠けなどのトラブルのリスクが高まります。
拡大装置
顎の骨や歯列の横方向への成長を促すことで、将来的に永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保します。歯と顎の骨の大きさのバランスが整うことで、永久歯がすべてきれいに並びます。
矯正歯科
矯正歯科では、矯正装置を用いて歯並び・噛み合わせを改善する治療を行います。矯正治療の成功には、患者さんと歯科医師の信頼関係が欠かせません。当院では、歯科医師や歯科衛生士と患者さんが二人三脚で治療に取り組める体制を整えております。
歯周病の可能性がある方へ
矯正装置を装着中は、歯磨きがしづらくなります。すでに歯周病にかかっている場合、そのまま矯正治療を開始すると、お口の中の衛生状態がますます悪くなる可能性があるため、まずは歯周病の治療を受けていただきます。
当院は歯周病の治療も行っておりますので、複数の歯科医院に通っていただく必要はありません。矯正治療を考えているものの衛生状態が気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
ワイヤー矯正(表側矯正)
ワイヤー矯正とは、歯にブラケットを装着してワイヤーを通し、その張力を利用して歯を動かす矯正治療です。最もオーソドックスな治療であるとともに幅広い症例に対応できます。その一方で、口を開けたときに装置が目立ったり、歯が動くときに痛みが出たりとさまざまなデメリットがあります。
当院では、なるべく目立たない素材を使用して痛みを軽減する対応などを行い、快適に矯正治療を受けていただけるよう努めております。
メリット
- ほとんどの症例に対応できる
- 治療結果を予測しやすい
- 装置が歯の表側にあるため発音が悪くならない
- 汚れを目視で確認しやすい
デメリット
- 口を開けたときに装置が目立つ
- 装置の厚みによって口元が前に出たり違和感が生じたりする
- 口の中が傷つくことがある
- 金属アレルギーのリスクがある
ワイヤー矯正のおすすめポイント
ほぼ全ての症例に対応できる
ワイヤー矯正には長い歴史と実績があるため、治療の進行や仕上がりが予測しやすい治療法です。また、治療技術の進歩により、ほぼ全ての症例に対応できるようになりました。
治療費を抑えることができる
ワイヤー矯正の中でもベーシックな素材を使用したものは、舌側矯正やマウスピース矯正と比べて低費用で受けることができます。それでいて治療効果が高いため、コストパフォーマンスに優れた治療法と言えるでしょう。
清潔な状態を維持しやすい
ワイヤー矯正のデメリットは口を開けたときに装置が目立つことですが、汚れも目視できるため、清潔な状態を維持しやすいとも言えます。当院では、効果的な歯磨きの方法をアドバイスしておりますので、矯正治療中のむし歯や歯周病のリスクを軽減できます。
部分矯正
部分矯正とは、気になる部分だけを矯正する方法のことです。例えば、少しだけ出ている前歯や出っ歯が気になる場合は、全体の歯並び・噛み合わせに問題がなければ部分矯正で対応できる可能性があります。歯の移動距離が短く、矯正装置を装着する本数も少ないため、それだけ治療期間や治療費を抑えることができます。
当院では、部分矯正に透明で目立たないマウスピース型矯正装置「インビザラインgo」を使用しておりますので、周りの人に気づかれないように矯正したい方もお気軽にご相談ください。
メリット
- 全体矯正と比べて短期間で治療できる
- 全体矯正と比べて治療費が低い
- 痛みが比較的少ない
- 矯正していることがわかりにくい
- 歯を抜かずに行える
デメリット
- 症例によっては適用できない
- スペースを確保するために歯を削る場合がある
- 歯を大きく削る場合は歯がしみる可能性がある
- 奥歯の噛み合わせがずれている場合は適用できない可能性がある
部分矯正のおすすめポイント
全体(全顎)矯正より治療期間が短い
全体矯正にかかる期間は2~3年程度であるのに対し、部分矯正は1年前後で完了する傾向があります。これは、部分矯正で動かす歯の本数が少ないうえに、主に適用する前歯が奥歯よりも動きやすいためです。目立つ部分の歯並びを短期間で整えることができるため、直近のイベントに備えて受ける方が多くいらっしゃいます。
全体矯正と比べて治療費がリーズナブル
治療期間が短く、矯正装置を装着する歯の本数が少ないため、それだけ治療費を抑えることができます。「全体矯正は費用が高額で受けられないため、せめて目立つところだけでも治したい」という方にもおすすめです。
気になるところだけを治療できる
前歯や八重歯、すきっ歯など、気になるところだけをピンポイントで治療できます。また、上顎の部分矯正は、スペースを確保するための抜歯をせずに行えることがほとんどです。歯を削ってスペースを確保する場合はありますが、削る量は最小限に抑えます。
舌側矯正(裏側矯正)
ワイヤー矯正は歯の表側に装置を装着しますが、舌側矯正は歯の裏側に装着します。口を開けたときにブラケットやワイヤーが見えないため、装置の見た目が気になりません。当院では、目立ちやすい上顎には舌側矯正、比較的目立ちにくい下顎には表側矯正を採用し、コストや審美性のバランスを取ることも可能です。
メリット
- 口を開けたときに装置が目立たない
- 会話や食事の際に口元が気にならない
- 出っ歯や受け口の矯正に適している
- 歯の表面を覆うエナメル質を傷つけない
- スポーツや管楽器の演奏に影響がない
デメリット
- 慣れるまでは発音しづらい場合がある
- 装置が舌に触れるため違和感がある
- 表側矯正と比べて費用が高額
- 歯磨きの工夫が必要
- 金属アレルギーのリスクがある
舌側矯正のおすすめポイント
口を開けても装置が見えない
歯の裏側に装置を装着するため、口を開けたときに装置が見えません。接客業や営業職などで口元の見た目が気になる方や人前に出る機会が多い方におすすめです。
食事のストレスが少ない
表側矯正では、装置に食べ物が詰まることで人との食事や外食時に気になる場合があります。舌側矯正であっても装置に詰まった食べ物を取り除く必要はあるものの、口元が気になりません。口元を気にせずに、食事をこれまでどおりにとることができます。
歯の表側に傷がつきにくい
装置を取り外す際に、歯の表面を覆うエナメル質が傷つく場合があります。機能面に影響はありませんが、汚れや着色がつきやすくなったり、よく見ると傷がわかったりするため、なるべく傷は避けたいところです。舌側矯正であれば、傷つくのは歯の裏側のエナメル質のため、少なくとも傷は目立ちません。
マウスピース矯正
(インビザライン)
マウスピース矯正は、マウスピース型矯正装置「インビザライン」を使用して歯を少しずつ動かす矯正治療です。歯型に合わせて20~35枚程度のマウスピースを作り、1日の装着時間を守りつつ定期的に交換しながら歯並びを整えていきます。
透明で目立たない装置のため、口元の見た目が気になりません。また、食事や歯磨きの際は取り外して、これまでどおりに生活できます。マウスピース矯正を適用できない症例もあるため、まずはお気軽にご相談ください。
メリット
- 装置が目立ちにくい
- 装置の違和感や痛みが少ない
- 金属アレルギーの心配がない
- 取り外せるため食事や歯磨きに影響がない
- 通院回数が少ない
- ワイヤー矯正と比べてトラブルが起きにくい
デメリット
- 装着時間を守らないと効果を得られない
- 適用できる症例が限られている
- ワイヤー矯正よりも治療期間が長くなるケースが多い
マウスピース矯正のおすすめポイント
透明で目立ちにくい
透明で薄いマウスピースを使用するため、口を開けたときに装置が目立ちません。周りの人に知られることなく矯正したい方、接客業や営業職のため口元の見た目が気になる方などにおすすめです。
痛みや違和感が少ない
歯を動かす距離はマウスピース1枚につき0.25mm程度と比較的短いため、それだけ少ない痛みや違和感で矯正できます。また、口の粘膜を刺激して傷つけたり口内炎を引き起こしたりする心配もありません。さらに発音への影響もほとんどなく、これまでどおりに会話ができます。
食事や歯磨きの際に取り外せる
マウスピースは取り外し可能な矯正装置のため、これまでどおりに食事や歯磨きができます。装着したまま食事をすると破損や衛生面のトラブルが起きるため、必ず外すようにしてください。
取り外しができない矯正装置の場合は、磨き方の工夫が必要です。矯正中の歯磨き方法は歯科医院で指導を受けることができるものの、やはり装置がついていない方がしっかり清掃することができます。
金属アレルギーのリスクがない
マウスピースには金属を一切使用していないため、金属アレルギーの心配がありません。金属アレルギーを発症すると、矯正治療を中止・中断せざるを得なくなる可能性があります。すでに金属アレルギーを発症している方も、発症しないか不安な方もマウスピース矯正を検討してみてください。
口腔内3Dスキャナー「iTero」(アイテロ)
当院では、口腔内3Dスキャナーの「iTero」(アイテロ)を導入しております。従来の歯型取りでは粘度のようなものを噛んでいただく必要がありましたが、iTeroであれば口の中に光を当てるだけで簡単かつ正確な歯型データを取得できます。
異物感による不快感や嘔吐反射なども起こらないため、歯型取りの負担を抑えることができます。取得した歯型データはコンピューターに取り込み、治療シミュレーションを行います。
そして、インターネットで瞬時に米国のアライン・テクノロジー社に送り、マウスピース作製を発注できるため、治療開始までの期間の短縮が可能です。
口腔内3Dスキャナー「iTero」のおすすめポイント
歯型取りの不快感がない
従来の歯型取りは、シリコン印象と呼ばれる粘度のようなものを噛み、しばらく静止いただく必要がありました。材料のにおいや異物感による嘔吐反射や、口を開けづらいのに開けることによる痛みなど、さまざま苦痛を伴います。iTeroは、口の中に光を当てることで10分程度でスキャンが完了するため、においや感触、痛みなどによる不快感がほとんどありません。
シミュレーションで治療後の予測ができる
歯型データをコンピューターシミュレーションに取り込むことで、治療後の予測ができます。また、患者さんの顔写真を合成すれば、顔を含めた歯並びの変化を確認できるため、治療によってどのように改善するのかがイメージしやすくなります。
早期に治療を開始できる
従来の歯型取りの場合は、歯型をアメリカへ空輸する必要がありました。iTeroで取得した歯型データはインターネットで瞬時に送信するため、それだけ早く歯科医院にマウスピースが届き、従来と比べて1~2週間程度も早く治療を開始できます。
矯正治療の精度が高まる
iTeroは1秒間に6,000枚もの写真を撮影するため、高精度な歯型データを取得できます。その結果、より高精度なマウスピース矯正が可能になります。また、シリコン印象は時間経過によって劣化することでマウスピースの精度に問題が起きる場合がありますが、歯型データは劣化しないためそのような心配はありません。